ヒョウモンダコ、毒の強さは青酸カリの1000倍!日本での事故例や目撃例は?

ヒョウモンダコというタコをご存知でしょうか?
元々は日本でも一部地域にしか生息していなかったこのヒョウモンダコですが、近年、日本各地で目撃されています。
ちなみにこのヒョウモンダコ、非常に強力な毒を持つ危険生物で通称「殺人ダコ」と呼ばれています。
夏の楽しみの一つである海水浴。
比較的安全だった日本の海でしたが、危険生物の存在に脅かされています。
そこで今回は「殺人ダコ」の異名を持つヒョウモンダコの毒の強さや日本での事故例・目撃例などについてお伝えしていきたいと思います。
■ヒョウモンダコの特徴
ヒョウモンダコは約10センチ程度の小さなタコです。
攻撃を受けると体が黄色に変わり、青いヒョウ柄が浮かび上がります。
このヒョウ柄にちなんでヒョウモンダコと命名されました。
普段はイイダコに似ていることから漁師さんでさえ見間違えることもあるようです。
肉食性で、主にカニやエビを捕食し、捕獲できれば魚類も食べることもあります。
■ヒョウモンダコの毒の強さ
ヒョウモンダコに噛まれると嘔吐、けいれん、呼吸困難をおこし、時には死に至ることもあると言われています。
ヒョウモンダコの唾液にはフグと同じテトロドトシンという猛毒を持っています。
テトロドトシンは同量の青酸カリの500倍~1000倍の毒性を持っています。
そのためたったの1~3ミリグラムの摂取で人間の致死量に達します。
この猛毒に加えてハパロトキシンというもう一つの毒を持っています。
実は猛毒のテトロドトシンはヒョウモンダコの主食であるカニやエビなどの甲殻類には効きません。
そのためこのハパロトキシンをカニやエビなどの甲殻類をターゲットとして海中に放出し、摂取させることで徐々に相手を麻痺させるようです。
そして麻痺して動きを鈍らせた甲殻類を捕食します。
ヒョウモンダコに限らず、タコは刺激すると噛みついてくる習性があります。
10センチ程度の小さいものでも侮ってはいけません。
海水浴などでタコを見つけても、うかつに近づかないことが無難です。
特に小さいお子さんには言い聞かせておいた方がいいですね。
■万が一噛まれてしまったときは

ヒョウモンダコの毒であるテトロドトシンに対抗する解毒剤はいまのところありません。
現在の治療法としては人工呼吸器を装着し神経麻痺による窒息を防ぎながら、体外へ毒が輩出されるのを待つことです。
テトロドトシンが代謝によって分解され体外に排出されるのにおよそ24時間かかると言われています。
不運にもヒョウモンダコに噛まれてしまったときはどのように対処すれば良いのでしょうか。
救急車を呼ぶなりしてまずは一刻も早く病院へ行くことが大切です。
救急車が到着するまでにできる応急処置としては次のようなことが挙げられます。
・噛まれた部位より心臓に近い方を縛り、毒が全身にまわるのを遅らせる
噛まれた人は安静にしておくことが重要です。
あまり動き回り脈拍が高まると毒のまわりが早まるおそれがあります。
・噛まれた部位を水で洗い流しながら、できるだけ毒を絞り出す
毒を絞り出す際、口で吸いだすのは絶対にやめてください。口から体内に入ってしまう危険があります。
■日本での事故例・目撃例

今のところ日本でのヒョウモンダコによる事故例はいまのところ報道されていません。
しかしオーストラリアではヒョウモンダコの被害によりお亡くなりになった方もいるそうです。
元々は西太平洋の熱帯・亜熱帯に分布し、日本でも沖縄や和歌山など温暖な太平洋側には生息していました。
しかし近年では1999年に大阪湾で捕獲されました。
その後、2009年頃からは九州北部の福岡県・佐賀県・長崎県・大分県で多く目撃され始め、2012年以降には三重、神奈川などの海や浜名湖(静岡)で相次いで発見されています。
また日本海側では島根県や鳥取県沿岸でも確認され、温暖化の影響などで生息域が北に向かって広がっていると見られています。
もう日本中の海で要注意ですね。
※日本での目撃例
九州、四国、山口県、島根県、鳥取県、京都府、大阪府、和歌山県、三重県、福井県、静岡県、神奈川県、千葉県など
■さいごに
今回は海の危険生物・ヒョウモンダコの毒の強さや日本での目撃例などについてお話しさせていただきました。
温暖化など地球環境が変化しつつあるいま、陸上にはヒアリ、そして海ではヒョウモンダコなど危険な侵入者が日本へ次々とやってきています。
これまで安全だったところがいつの間にか危険地帯となっているなんてこともあり得ます。
安全のために私たちにできることとしては、とにかく危険なものには近づかない、見つけたら遠ざかることでしょう。
「君子危うきに近寄らず」ってやつですね。