マダニに噛まれてしまったら?症状や取り方を知って対策を!
野山や森に潜む吸血鬼「マダニ」。
知らないうちに噛みつき、ひっそりと血を吸って大きくなります。
マダニは「殺人ダニ」とも呼ばれるとても危険な生物です。
ではマダニに噛まれると一体どんな症状になるのでしょうか?
そこで今回はマダニに噛まれた場合の症状やマダニの取り方についてお話ししたいと思います。
■噛まれたらどんな症状に?
吸血している間、寄生されている動物には痛みもなく、気づかないこともあります。
吸血前のマダニは2~3㎜程度の大きさですが、1週間も吸血を続けると1センチ以上の大きさになります。
大きくなったマダニの存在で初めて寄生されていたことに気づくケースも。
そしてマダニに噛まれたことにより起こる症状で最も恐ろしいのが感染症です。
この感染症の種類も1つではなく、いくつかのものがあります。
そのうち代表的なもの3つをお伝えします。
・ライム病
(潜伏期間:1~3週間)
欧米では年間数万人もの患者数が発生している「ライム病」。
野ネズミや野鳥などが保有している細菌である「ボレリア」という菌に感染したマダニが人や犬に噛みつき吸血することで発症します。
症状としては発熱、関節痛、筋肉痛、遊走性皮膚紅斑、良性リンパ球腫、慢性萎縮性肢端皮膚炎、髄膜炎、心筋炎など。
ロック歌手のアヴリル・ラヴィーンさんもこのライム病に感染した際には5か月間寝たきり状態だったと告白しています。
・日本紅斑熱
(潜伏期間:2~8日)
日本紅斑熱はリケッチアという真正細菌に感染したマダニに噛まれると感染するとされています。
リケッチアは野生のシカなどを介してマダニからマダニへと広がり人へ感染します。
症状としては頭痛や発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛など。
発熱と同時、またはその前に紅色の斑丘疹が発生するのが特徴的。
・重症熱性血小板減少症候群
(潜伏期間:6~14日)
重症熱性血小板減少症候群(じゅうしょうねっせいけっしょうばんげんしょうしょうこうぐん)は、SFTSウイルスに感染したマダニが人の血を吸うことで感染します。
マダニからの感染が中心ですが血液等の患者体液との接触により人から人への感染も報告されています。
治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはありません。
症状は発熱、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血などの消化器症状や、ときに腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴います。
厚生労働省の発表によると致死率はなんと10~30%程度。
感染した場合、10人に1人~3人が亡くなるというとても恐ろしい感染症です。
マダニが別名「殺人ダニ」と言われる理由が理解できます。
■マダニに噛まれた際の取り方
万が一、マダニに噛まれてしまった場合、どうしたらよいのでしょうか?
身体に食いついているマダニを発見したらきっと瞬時に払ってしまうか、デコピンを食らわせて取り除いてしまうでしょう。
しかし、マダニを無理やり剥がしてはいけません。
なぜならマダニは皮膚の深くまで口吻を差し込んで吸血をします。
無理やり剥がそうとするとその口吻の一部が残ってしまうおそれがあります。
折れて体内に残った口吻の一部は取り除くのが非常に難しく、またそれが原因で化膿してしまうことも。
また、噛みついているマダニを潰すとマダニの体液が逆流にして体内に入り込んでしまうなんて可能性もあります。
想像すると気持ち悪いですね。
仮に噛みついていたマダニが細菌やウイルスを持っていた場合、感染してしまうリスクが高まってしまいます。
万が一、マダニに噛まれた場合はその状態のまま皮膚科へ受診しましょう。
皮膚科で安全に取り除いてもらい、感染症の有無も調べてもらましょう。
■マダニを自分で取るには?
マダニを取り除く一番のおすすめは皮膚科でとってもらうことですが、登山中などで近くに病院がない場合や夜間で病院が開いていない場合にそのままにしておくのは気持ち悪いですよね。
マダニと同じベッドで一夜を共にするなんて考えただけでも吐き気がしそうです。
そこでマダニを自分で取る方法をお伝えします。
・虫よけスプレー・アルコールを使う
ディート、イカリジンと呼ばれる成分が入った虫よけスプレーはマダニが付くのを予防するのに有効と言われています。
これらの成分が入った虫よけスプレーをティッシュやコットンなどに染み込ませて吸血しているマダニに被せます。
しばらくするとマダニが嫌がって自ら吸血をやめて皮膚から離れていきます。
虫よけスプレーがない場合にはアルコールで代用できます。
・ワセリン・ハンドクリームを使う
ワセリンやハンドクリームをマダニが刺している部分に塗り付けると呼吸しづらくなり苦しくなったマダニが離れていきます。
しかし、場合によっては噛みついたまま窒息死してしまう場合もありますのでその際は皮膚科へ行き取り除いてもらいましょう。
・殺虫剤を使う
殺虫剤を綿棒などに吹きかけてマダニに塗り付けます。
次第に殺虫剤が効いていきマダニが自然と離れていきます。
これらの方法でマダニを取り除いたとしても必ず皮膚科で受診し噛まれたあとの処置や感染症についても医師に相談しましょう。
■野山や森から帰ったらマダニチェックを!
マダニは宿主から長期間にわたって吸血するため、吸血しているあいだ、痛みや痒みを伴いません。
そのため宿主はマダニに噛まれていることに気づかない場合があります。
そのため、野山や森などに立ち入った際には以下のようなチェックをしましょう。
・身体や衣服にマダニがついていないかチェック
家の中にマダニを持ち込まないよう、家に入る前に身体や衣服にマダニが付着していないかチェックをしましょう。
できれば家族にも協力してもらい背中など見えない部分もチェックしておきましょう。
服の見えない部分に入り込んでいる可能性もあるので服をはたくなどして万全を尽くしましょう。
・お風呂で全身をチェック
帰宅後はなるべく早めにお風呂に入り全身をチェックしましょう。
お風呂場の鏡などを使って背中なども入念にチェックしてください。
・散歩後のペットもチェックを
マダニは犬や猫などのペットにも寄生します。
散歩途中に立ち入った草むらなどにマダニがいることもあります。
散歩から帰った際にはしっかりとブラッシングを行いマダニが寄生していないかチェックしてあげましょう。
■さいごに
今回は野山や森に住む危険生物・マダニについて、噛まれた場合の症状やマダニの取り方などをお伝えしました。
キモイ見た目や、恐ろしい感染症の原因となることから、生活するうえで可能な限り関わりたくない相手ですね。
子供の頃、半そで半ズボンに草履という軽装でクワガタやカブトムシを獲りに行っていたことがありました。
この頃はマダニについてあまり知られていませんでしたが今考えるとゾッとしますね。
スズメバチやヘビにだけ気を付ければOK!なんて思っていましたがそれらに勝るとも劣らない危険生物が身近にいたんですね。
マダニは4月~10月とアウトドアに最適なシーズンに最も活発的になります。
野山や森などマダニの生息地に立ち入る際は長袖、長ズボンを着用するなど肌の露出を防いだり、虫よけスプレーを活用するなど直接マダニに触れないよう事前に準備することも忘れずに行いましょう。