井上尚弥、年末は王座統一戦!?ボクシングの王座統一に必要なものとは?
2018/01/03
先日、ボクシングの本場アメリカで6度目の防衛を果たしたWBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥選手。
次戦は年末に『王座統一戦』を視野に入れて交渉を進めているようです。
ターゲットはIBF同級王者のジェルウィン・アンカハス選手(フィリピン)。
統一戦実現に向けて現在、大橋会長が猛烈に交渉しているようです。
もう一つ年末に行われることが期待されていたライトフライ級の田口良一選手と田中恒成選手の王座統一戦は田中選手の怪我により残念ながら見送り濃厚。
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個人的には今年の年末ボクシングのメインイベントと思っていただけに非常に残念です。
10月に試合を行う村田諒太選手、比嘉大吾選手、拳四朗選手らは日程的に年末は無理でしょう。
となると今年の年末ボクシングはちょっと寂しいかな。
紅白かガキ使でも見よっかな・・・と思っていたところに舞い込んできた井上尚弥選手の王座統一戦というビッグニュース。
これはまさに年末を締めるにふさわしい好カード!
ぜひ実現してほしいと思います。
そこで今回はボクシングの王座統一戦についてちょっとお話ししたいと思います。
■王座統一戦とは??
王座統一戦とはズバリ、チャンピオン同士の対戦。
それぞれ持っている王座をかけて勝った方が両王座をまとめて獲得する戦いです。
今回、井上尚弥選手とジェルウィン・アンカハス選手が対戦した場合、井上選手の持つWBOの王座、アンカハス選手の持つIBFの王座をかけて争われ、勝利した方がWBO・IBF2団体の統一王者となるわけです。
ちなみに統一王座といわれるタイトルマッチで紛らわしいのが「暫定王者」との統一戦です。
テレビでタイトルマッチを見ていると「今回の試合は王座統一戦です!」、「チャンピオン同士の対戦です!」なんて言葉を度々耳にすることがあるかと思います。
これは各団体の正規王者がケガなど何らかの理由で試合が出来ない場合に上位ランクの選手同士で暫定王座決定戦を行い、一時的に代理の王者が誕生します。
この時点で同じ団体の同じ階級に2人の王者が存在することになります。
正規王者が休養中にこの暫定王者が正規王者に代わって防衛戦も行います。
正規王者が復帰し試合の出来る状態になった場合にこの代理の王者である「暫定王者」と王座統一戦を行い、2人になってしまっていた王者を1人に戻します。
同じ王座統一戦でもちょっと意味が違ってきます。
簡単にまとめるとこのようになります。
・団体統一戦=各団体のナンバー1同士の戦い
・暫定王座統一戦=同一団体内のナンバー1とナンバー2の戦い
■過去に統一王者となった日本人選手は?
今回の井上尚弥選手のように他団体の王座に挑んだ選手、また統一王者となった選手は存在します。
しかし、長い日本ボクシング史の中でもそれほど多くはありません。
★歴代日本人統一王者
・海老原博幸 (WBA・WBC)
・ファイティング原田 (WBA・WBC)
・沼田義明 (WBA・WBC)
・小林弘 (WBA・WBC)
・藤猛 (WBA・WBC)
・輪島功一(WBA・WBC)
・渡辺二郎 (WBA・WBC)
・井岡一翔 (WBA・WBC)
・高山勝成 (IBF・WBO)
海老原博之さん、ファイティング原田さん、沼田義明さん、小林弘さん、藤猛さん、輪島功一さんらの時代は団体がまだWBA、WBCの2団体しかない頃でした。
この頃の統一王者とはその階級の頂点に立つ、まさに唯一無二の存在でした。
1984年当時WBAスーパーフライ級王者だった渡辺二郎さんはWBC王者だったパヤオ・プーンタラット選手と対戦。
この試合はWBA側が統一戦を認めず、渡辺さんがリングに上がった瞬間に王座をはく奪すると宣言。
しかし、WBAと帝拳側の交渉によりリングに上がったら即剥奪ではなく試合後に剥奪されることとなり、12回判定で勝利した渡辺さんは勝利の瞬間のほんのわずかな間ではあったもののWBA・WBC統一王者となりました。
この騒動には当時WBAは15ラウンド制、WBCは12ラウンド制というルールの違いが原因だったそうです。
このように他団体との統一戦には乗り越えなければならないハードルが存在するため実現しないケースが結構あります。
ファンとしてはもどかしいところですが。
記憶に新しいところでは2012年6月に行われたWBCミニマム級王者の井岡一翔選手とWBA同級王者の八重樫東選手の試合。
『王座統一戦』、
『日本人対決』、
として注目されたこの試合は井岡一翔選手に軍配。
両者はその後ミニマム級から階級を上げてライトフライ、フライと3階級を制覇!
高山勝成選手はIBFミニマム級王者だった2014年8月にWBO王者のフランシスコ・ロドリゲス・ジュニア選手と対戦し敗れて王座を手離しました。
しかし、フランシスコ・ロドリゲス・ジュニア選手が階級を上げるため獲得したIBF・WBO王座を即返上。
空位となったこの2つの王座をかけて大平剛選手と王座決定戦を行い7回TKO勝利し2団体の王座を獲得。
王座を統一したというより同時に二つタイトルを獲得したというのがしっくりくるでしょうか。
ちなみに高山選手はこの時のWBO王座獲得によりWBA、WBC、IBF、WBOすべての団体で王座を獲得し4本のベルトを手にしました。
近年王座統一戦に挑んだ選手は2010年4月に当時WBCバンタム級王者だった長谷川穂積選手がWBO同級王者のフェルナンド・モンティエル選手にと対戦しましたが4回TKOで敗れ王座統一ならず。
2012年10月にはWBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃選手がWBO同級王者で当時4階級を制覇していたノニト・ドネア選手(のちにフェザー級王座も獲得し5階級を制覇)と米国のリングで統一戦を行いましたが9回TKOで敗れました。
長谷川穂積選手、西岡利晃選手といった日本ボクシング史に名を刻む名王者でも統一王者となることはできなかっただけに王座統一の難易度の高さがうかがえます。
団体間のルールによるしがらみなどもあり、統一戦を行う機会に恵まれることやその時の相手が誰か?など運やタイミングも統一王者になるには必要な要素となりそうです。
■王座統一に必要なものとは?
今回は年末に井上尚弥選手の王座統一戦が期待されていることに先立ち、ボクシングの王座統一戦についてお話しさせていただきました。
今年はじめにはローマン・ゴンザレス選手とのビッグマッチも期待されていましたがゴンザレス選手のまさかの敗北もあり、実現は叶いませんでした。
本当にボクシングのマッチメークはタイミングが難しい。
ボクシング版の運命の赤い糸で結ばれていないと駄目なのかもしれませんね。
田中恒成選手と田口良一選手もお互いに対戦を望む相思相愛の関係でしたが、今回の件で実現は難しそうです。
王座統一に一番必要なものは、、、
『縁(えん)』
ではないでしょうか?
はたして井上選手とアンカハス選手は赤い糸で結ばれているのでしょうか?
この試合が実現しないと今年の年末ボクシングはちょっと寂しいカードになるかもしれません。